剣山 (冬季)【日本百名山】

こんにちは四国グラフィです。

この記事では四国の誇る日本百名山のひとつ、徳島県剣山(つるぎさん) について冬季登山に必要な情報を写真と共にご紹介します。

通年登られている四国屈指の人気の山ですが、今回は1月冬季に登った記録をお届けします。

※この記事の元になった登山は2022年1月です。
※雪のある山は特に危険を伴いますので、十分な準備のもとで登山を楽しむようにお願い申し上げます。

剣山 概要

剣山(つるぎさん)
標高1955m
徳島県三好市/美馬市/那賀郡
日本百名山
四国百名山・百山
新日本百名山
花の百名山
一等三角点百名山

剣山とは

剣山は、石鎚山と双璧をなす四国にある2つの日本百名山のうちひとつです。

標高は石鎚山に次いで西日本2位の1955m
比較的穏やかな山容で、老若男女問わず多くの方に愛されています。

この一帯は標高の高い山が連なり四国の屋根と呼ばれ四国山脈の中核を成しており、電線や林道の交わらぬ天然の稜線が長く伸びていることが魅力です。

剣山山頂から眺める次郎笈への美しい稜線は、登山をしない方でも目にしたことがある人も多いでしょう。

剣山から三嶺までの縦走などはベテラン登山者の間で人気のコースになっています。

山岳信仰

剣山も四国の名山の御多分に洩れず、山岳信仰盛期においては広く信仰を集めた山です。

尾根道コースの西には鎖場を含めた行場跡が残っており、お隣の一ノ森への往来の途中に見ることができます。

剣山に通常のコースで登る過程でも、登山口の劔神社、山頂の宝蔵石神社、中腹の大劔神社など多くの神社・祠を通過するのも見どころです。

剣山 良い季節は?

最も多くの人が集まるのは紅葉の時期、10月中旬〜下旬だと思われます。
紅葉最盛期200台規模の駐車場が全て埋まるほど多くの人が押しかけています。

春先はシコクバイカオウレンなど、夏はキレンゲショウマなど様々な花が楽しめることから花の百名山にも選定されています。

冬はその標高から四国有数の雪原歩きとなり、こちらも美しい雪景色が魅力です。

今回は雪が積もる1月の天気の良い日に登った記録をお届けします。

登山口情報

剣山登山口は複数あります。
最も使用されているのは、剣山の北に位置しロープウェイ駅もある見ノ越登山口です。

ほか直登路として剣山スーパー林道から登る南つるぎコースなどがありますが登山者は少なく荒れているとのことで、冬季の使用は困難です。

冬季は周囲山間部の林道が通行禁止となるため、アプローチが可能なのは基本的に見ノ越からになります。

見ノ越登山口

麓に劔神社があり、鳥居をくぐって神社に向かって右が登山口となります。

冬季は剣山登山バスは運行しておらず、ロープウェイも運休です。
また頂上ヒュッテも営業しておりませんのでご注意ください。

第1駐車場とロープウェイ乗り場
自然休養林の石標
登山道入口鳥居

見ノ越へのアクセス

冬季の見ノ越登山口へは、スタッドレスタイヤもしくはタイヤチェーンが必須です。

※道中の看板ではチェーン必携と記載されています。

道路凍結による通行規制の関係で、高松市・美馬市を通り縦断する国道438号線を南下することになります。

美馬ICまで高速道路を利用してから同様に南へ走るのが良いでしょう。
標識は多いため迷うことはないと思われますが、道が狭いので対向や通行者に注意が必要です。

終盤はヘアピンカーブが連続しますので特に下りでは油断せずに通行してください。

林道から見る剣山

2021-2022年の冬季は日中(8:00-18:00)で通行可能でした。
道路工事などで時間指定で通行止めになったりするので、市のホームページなどから確認してから向かうようにしましょう。

徳島県県土防災情報
https://bousai.pref.tokushima.lg.jp/map/

吉野川を渡って貞光川沿いに入るとコンビニなどは出てきませんので、早めに買い物などは済ませておきましょう。
つるぎ町貞光のローソンやスーパーマーケット、道の駅貞光ゆうゆう館などあります。

登山口トイレも冬季は閉鎖されていますが、仮設トイレが設置されていました。

コース紹介

見ノ越登山口から剣山へは複数の道があり、現地の案内板でも紹介されています。

ここではロープウェイで登った先の西島駅で前後半に分けて簡単にご紹介しておきます。

前半:剣神社〜西島駅

分岐時間特記
直登コース40分程度
遊歩道コース+20分程度西島神社経由

後半:西島駅〜剣山頂

分岐時間(目安)特記
尾根道コース40分程度枝折神社
刀掛の松
一ノ森へ分岐
剣道コース60分程度大剣神社
お塔石
遊歩道コース80分程度二度見展望台
剣山御神水
積雪のない時期の目安です

後半は無雪期ならばどのルートでも問題なく歩けますが、積雪があると剣道・遊歩道コースは雪のトラバース道を通ることになり危険が伴います。

傾斜は急ですが歩行距離も短い尾根道コースが最も歩きやすいかと思われます。

※今回の記事内では準備の上でトラバース道に挑戦しています。

現地の剣山登山道案内図

付記:準備と服装

参考までに、この記事の登山における服装や装備をご紹介しておきます。

使用した冬用装備
ロングゲイター
10本爪アイゼン
ワカン
トレッキングポール(スノーバスケット)
ピッケル
ボトムス
サポートタイツ
CW-X
トレッキングパンツ(中厚手)
THE NORTH FACE VERB THERMAL PANTS
トップス
ベースレイヤー
モンベルジオライン 中厚手
ミッドレイヤー1
THE NORTH FACE FLASH DRY 3D ZIP UP
ミッドレイヤー2
THE NORTH FACE MOUNTAIN VERSA MICRO JCKET
アウター
THE NORTH FACE CLIMB LIGHT JACKET
+サングラス、ニット帽、グローブ(1重)

この日は連日の冷え込みから一気に暖かくなった日で気温−2℃程度。

積雪は30cm程度と言ったところで、スノーシューやワカンのトレースも散見されました。

剣山では特に尾根道コースや次郎笈への稜線で勝手が良いです。
アイゼンもしくはチェーンスパイクが全体的に適していますが、次郎笈への縦走などを考える場合はスノーシューなどを持参するのも良いでしょう。

ピッケルは剣山でもトラバース道を通る場合は必携かと思います。
あまり使いませんでしたが、滑落防止のため!

※天候・気温その他によりますので参考までに必ず十分に準備をしておきましょう。

登山記録(前半)

それでは1月の剣山の登山記録をお伝えしていきます。

コースマップ(前半)

YAMAP地図 (筆者注釈)

登山口 劔神社

劔神社の参道石段より鳥居をくぐってお参りを済ませたら、向かって右手より登山道へ入ります。

前半は緩やかな登りを歩いていきます。
早速丸笹山塔丸など北側の山が望める場所がありますが、登った先には展望スポットが多くありますので先を急ぎましょう。

10分程度で西島神社経由の遊歩道への分岐があり、今回は先を急ぎ左手の直登する分岐を往きます。
ここから西島駅まで930m、遊歩道を歩くと1530mです。
少し登りは急ですが、序盤はすいすいと歩けます。

20分ほどで再び遊歩道コースと合流すると間もなく視界が開け野営場の標識があり、先に西島駅を視認することができます。

野営場は数張分のテントスペースがあり、この周辺から三嶺や塔丸、次郎笈などを眺めることができます。

野営場から 右奥に三嶺

西島駅にベンチが数台ありますので、そちらで一息入れましょう。
冬季は凍結していますが、トイレや休憩所も整備されています。

西島駅まで50分程度歩行距離約1.5kmです。

西島駅から

西島駅からは3つのコースが選択できます。

尾根道コースは西島駅向かって奥より尾根に乗り直登。
大剣コース遊歩道コースは西島駅向かいに見えている鳥居をくぐって入ります。

冬場は歩きやすい尾根道を通る方が多いと思われますが、今回は鳥居をくぐって大劔神社までのトラバース道(剣道ルート)を進むことにしました。

西島神社で展望を楽しみつつ一息入れたあとは、山頂へ目指して進みます。

登山記録(後半)

コースマップ(後半)

YAMAP地図 (筆者注釈)

大剣神社へ (剣道コース)

3つあるルートのうち真ん中の剣道コースへ。
鳥居を2つくぐって大劔神社へ向かう道で、山頂まで1270mの看板があります。

鳥居をくぐって進みます

5分ほど歩くと本格的に雪道トラバースがはじまります。
トレースがありましたので楽に歩けましたが、膝下までの積雪で足を取られます。

雪は固められていますが時折こんな場所も。

なかなかのトラバース

滑落しそうな場所であり予想以上に危ないと感じました。ピッケルに持ち替えています。

途中で尾根道ルートへ乗る分岐の案内がありましたが当然トレースはなく直進。
ここ以外にも3つのコースはそれぞれ側道で繋がっていますが、正しく進むのは困難そうでした。

西島駅より40分程度で無事に大劔神社へと到達します。
神社の裏に見えているのが御神体であられるお塔石です。

大剣神社へ到着
中央左に次郎笈

大劔神社より右手に少し降ったところには剣山御神水(おしきみず)の祠があります。
日本の名水百選に指定される若返りの水ですが、冬季はお目にかかれないと思います。

さらに標高が上がり、三嶺、天狗塚、塔丸などが綺麗に見渡せるようになります。

ここから剣山山頂までは残り約30分、500m程度
ほとんど直登でぐっと危険度は下がります。

樹林は切れており、頭上から暖かい日差しを浴びながら最後の急登を登ると剣山山頂ヒュッテへ到着です。

剣山山頂

山頂ヒュッテは冬季は営業していませんが、山頂宝蔵石神社にはお参りをしておきましょう。
宝蔵石神社の裏手に山頂側から回り込むと岩の上に祠が祀られています。

宝蔵石神社の祠

山頂広場は自生植物の保護のために木板の道が渡されています。
展望休憩所に数多くのベンチ、TAOKAエコレスト&レスキューの綺麗な公衆トイレなどがあります。

三角点と山頂を示す看板はヒュッテから少し離れた南南西の場所にあります。

左に山頂の印 囲いの中に三角点

山頂からはお隣の次郎笈とその稜線が綺麗に見えるのですが、白く雪に染まる次郎は格別。
ちなみに今いる剣山を太郎笈と別称するそうです。

参考コースタイム

見ノ越登山口
〜劔神社(5分)
〜ロープウェイ西島駅(50分)
〜大劔神社(40分)
〜宝蔵石神社(30分)
〜山頂三角点(5分)

歩行時間 2時間10分
歩行距離 2.8km

※全体に急足で歩いた結果、トラバースで苦戦した割には無雪期に近いペースで歩けています。この表記よりも余裕を持って計画することをお勧めします。

山頂からの景色

山頂から撮影した風景を掲載します。

次郎笈
ISO100 f8.0 SS1/250 70mm +CPL
三嶺
ISO200 f8.0 SS1/250 115mm +CPL
ISO400 f11.0 SS1/400 70mm +CPL

この週は曇りの日が多かったのですが、昼前までは青空に恵まれました。
山頂は遮るものがなく、とても風が強かったです。

本当に素晴らしい景色を見ることができて感動ものでした。
雪山は大変で危険なことも多いですが、是非実際にご覧になっていただきたいなと思います。

剣山 撮影のススメ

剣山登山にカメラを持っていく場合、1本だけレンズを選ぶならばお勧めは望遠ズームレンズです。

70−200mm程度の焦点距離のものがあれば、山頂付近から周囲の山を大きく撮影することができます。

ただし山頂付近から次郎笈よりも近い部分の稜線を写したい場合は、それよりも焦点距離の短いものがあると便利です。

近くはスマートフォンを活用し遠くは一眼レフorミラーレス、といった使い分けも良いかもしれません。

あまり三脚が必要な場面はないかもしれません。
フィルターをお持ちならばCPLだけでも持っていくのをお勧めします。

下山 (遊歩道コース)

予想よりも余裕を持って登れたので、下山でもトラバース道を通る遊歩道コースを用いて歩いていますので、蛇足的に記載します。

※実際は次郎笈へ縦走後の帰路途中から下山しています。

稜線分岐より

剣山山頂から次郎笈の稜線途中より大劔神社方向へ道が延びており、ここが遊歩道コースです。

が、このコースは結構な急斜面を通過することになりなかなか大変でした。

剣山山頂より次郎笈方面へと降りること10分程度で看板のある分岐点へ到達です。
看板にはリフトへ1450m見ノ越へ2770mの文字。

巻道へと入っていきますが途中からトレースも薄くなり、僅かなスノーシューの踏み跡だけになりました。
引き返した人も多かったのかもしれません。

200mほど歩けば到着する二度見展望所から振り返る眺望は素晴らしいですが、トラバースの斜面の上に立っている状況でした。

二度見展望所付近より

少し足を止めましたがじっくりカメラを構える余裕はなし。
引き続き雪深いトラバースを慎重に進んでいきます。

大劔神社下より

さらに30分程度大劔神社の下まで到達します。
確認できませんでしたが剣山御神水の近くです。

大劔神社へは雪がなくとも急な登り階段ですので、ここを登ることは諦めました。

大劔神社には寄らず直進

遊歩道コース中間付近の休憩所へ向けて気が抜けないトラバースが続きます。

東家手前にも崖スレスレの狭い渡りがありますが、山側に体を寄せて注意して進みます。
通る人も少ないせいか雪もふかふかで崩れやすく、ピッケルを持つ手に力が入ります。

※本当に怖かったのでスマホも取り出せてません

東屋までは短い距離ですが、20分ほどを要してどうにか到着です。

ここからは比較的歩きやすくなり、難所を越えた休憩にピッタリです。
西島駅までは490mの看板がありもう一踏ん張り。

遊歩道コース 感想

稜線分岐〜西島駅
歩行距離1.4km
歩行時間1時間10分

下山であったこともありますが、たびたび危険も感じ非常に体力を要す道でした。

今回は挑戦してみましたが、正直なところ次回は尾根道ルートを降りようかなと思います……。

ヒヤヒヤしながらのトラバース渡りを終え、西島駅は実家のような安心感です。

ここからは往路の道を30分程度で降り、見ノ越登山口へと戻ります。お疲れ様でした。

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あとがたり

冬の剣山登山記録、いかがでしたでしょうか。

山頂付近からの眺望はやはり素晴らしく、日本百名山として四国が誇る山の1つを雪山で楽しめることは幸せな経験でした。

季節を問わず素晴らしい景色を楽しめますので、登ったことのない方もぜひご自身で確かめていただきたいなと思います。
特にロープウェイが稼働している時期ならばレベルを問わず楽しむことが可能でしょう。

冬季ではご紹介した通り雪山装備を要する山となります。
冬でも人気の山でたくさんの人が登っていますが、くれぐれも十分に準備をして臨んでください。

雪の絨毯に刻む足跡

ご覧いただき大変ありがとうございました。
また次の山でお会いしましょう。

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ver1. 2022.2.1.
ver2. 2022.11.7.

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