横倉山【四国百名山】

こんにちはしこぐらBLOGです。
この記事では高知県越知町横倉山について、登山記録を元にご紹介します。

地域の方に愛される里山ですが、鎖場を経て断崖の上の住吉神社まで目指すコースを歩けばなかなかの歩きごたえがあるしこぐらBLOGお勧めの山です。

それではご紹介していきましょう。

※この記事の元になった登山は2022年5月上旬です。

基本情報


横倉山(よこくらやま)
標高774m
高知県越知町
四国百名山/花の百名山

写真は牧野公園からの横倉山

横倉山は高知市より1時間程度の越知町に位置したかつての修験の山です。

平家にまつわる数多くの伝説があり、家臣たちの墓跡や安徳天皇を祀る横倉宮、また多彩な動植物など豊富な見どころがあります。
低山ながらとても趣深く、登山者としても大いに楽しめる素敵な山です。

お立ち寄りの際は、是非見どころ余すことなく楽しんでいただきたいと思います。

登山記録の前に横倉山の魅力について幾つかご紹介します。

安徳天皇を祀る横倉宮

平家伝説

横倉山には、安徳天皇とその家臣たちにまつわる平家落武者伝説が残り多くの史跡が残されています。

安徳天皇が没後に祀られた横倉宮が主なシンボルとして見事に残されているほか、同天皇をかつて葬った場所である安徳天皇陵墓参考地は高知県で唯一宮内庁管轄指定を受けています。

陵墓参考地は地元では鞠ヶ奈路と呼ばれ、安徳天皇が幼少期に蹴鞠をして遊んだ思い出の地なんだとか。

壇ノ浦の合戦後、幼少の安徳天皇を含めた平家残党がこの地に流れついて身を隠して生活し、安徳天皇は若くしてこの世を去ったといわれています。

横倉山は土佐唯一の修験の山として歩かれ、低山ながらも登山道途中の兜嶽(かぶとだき)や横倉宮奥の住吉神社などには急峻な岩場に鎖が残されたスリリングな一面も持ち合わせています。

多彩な植物

横倉山は花の百名山にも選定されており、実に800種類以上といわれる植物が自生しています。

そのため高知県が誇る植物学者、牧野富太郎が研究の地として数多くの新種植物・動物を発見したことでも知られています。

山道ではアカガシの林ヒノキ、杉原神社では樹齢500年以上のスギの巨木を目にすることができるほか、遊歩道コースのアセビの森やアケボノツツジの自生地など。
ほかコオロギランなどの希少種も自生で残存しているそうです。

印象的なアカガシの大木

その他、地質学的にも国内最古の歴史を持つ地層からなり、実に4億年前の化石が発掘されていたりと、知れば知るほどその貴重さを身に染みて感じることができます。

越知町は観光業にも力を入れておられますので、是非公式の情報も合わせてご覧ください。
トレッキングツアーも頻繁に開催されているので登山未経験の方でも気軽に参加できるでしょう。

参考URL;横倉山トレッキングツアー

高知の山らしく夏はかなり霧濃く鬱蒼とする山ですので、特に特定の時期の目当てがなければ春、もしくは秋の登山がお勧めです。
雨が降ると木段が滑りやすいのでしっかり登山靴を推奨します。
降雪期の登山では岩場が危険を増しますので、凍結対策は忘れないように。

登山口とアクセス

越知町に高知県外からお越しの場合は、愛媛県南部などを除けば高知市経由で目指すと良いでしょう。

高速伊野ICで降車して西方面への無料道路を終点まで走り、494号線で道なりに越知町へ到着できます。

横倉山にはそれぞれ少し離れた3ヶ所の駐車場があり、それぞれから登ることができます。
横倉宮への参拝が目的の場合は第3駐車場を使用すれば最短で登れますが、登山者には後述する第1駐車場からのコースをお勧めします。

横倉山第1駐車場

横倉山登山口への林道は、国道494号沿いにスノーピークかわの駅おちやコスモス畑が有名な宮の前公園そばから横倉宮一ノ鳥居をくぐり入ることができます。

途中で道路崩落のため通行止めです(2022年5月時点)。

解除されたそうです(2022年10月)。

今回は迂回路から登山口へ向かいました。
かわの駅おちから494号線を佐川・いの町方面に戻ってすぐ、川を越えたところで大樽の滝方面への案内に従い県道18号線に入って進めば、道なりで桐見ダムに到着します。

ダムを越えるとまもなく市山集落のバス停があり、横倉山への案内が貼られておりますので右折して登りの林道に入りましょう。

この迂回路では最初に見えてくるのが第1駐車場です。
駐車場は舗装されトイレも整備されています。

ここから林道を少し歩けばすぐ目標の登山口へ到着です。

なお登山口を少し過ぎたところに織田公園があり、越知町を一望できる展望台や四季折々の手入れされた花壇が楽しめます。こちらは帰りに寄ることにしましょう。

登山コース案内

高知県地域観光課HPの案内では

  • 南の遊歩道(修験の道)コース (第1駐車場から)
  • 自然の森コース (第2、3駐車場から)

と呼んでいるためそちらに倣い紹介します。

今回の記録では、修験の道を歩いて横倉宮へ参り、さらに奥の鎖場である断崖絶壁の住吉神社を目標地としています。

下山では自然の森コースを歩いて第2駐車場へと降り、最後に林道を伝ってスタート地点へと戻っています。

参考URL;えい山歩記 (高知県観光振興部 地域観光課)

修験の道コース

兜嶽と呼ばれる岩場のピークを経て尾根伝いに三角点を目指し、横倉宮へと至ります。鎖場は迂回路もあります。
おおよそ横倉宮まで70-80分程度です。

自然の森コース

アカガシの古木などが立ち並ぶ自然の森を歩き、横倉山の参道鳥居へ至るコースです。こちらが表参道になります。

スギの大木が圧巻の杉原神社や平家の宮、全国名水百選安徳水などが見どころです。

第2駐車場から横倉宮まではおよそ40-50分、第3駐車場からは30分弱程度です。

横倉山はそれぞれの駐車場から別のコースで横倉宮を目指すことができ、それぞれの登山道を繋ぐ道もあるためルートは豊富です。

遭難することはないかと思いますが、予期せぬ場所に向かわぬようにGPSや地図で確認しましょう。

登山記録

それでは横倉山登山の記録をご紹介してゆきます。

修験の道登山口

第1駐車場から歩くこと数分。
修験の道コースの登山口へ到着です。

兜嶽までは軽い登りが連続します。
よく歩かれているため全体に綺麗な道を歩いて進みます。

どちらの登山道でも安徳天皇に仕えた家臣たちの墓跡が散見されます。

里山らしく、休憩用のベンチや登山者を励ます看板が多いので無理せず進んでいきましょう。

兜嶽へ

兜嶽は修験道として使われていた眺望の良い岩場で、馬の背のように見えることが名前の由来です。

地質学的にはこの岩場も最古の火山活動の名残であり、火砕流堆積物から成っているそうです。

登山口から30分も歩けば「岩場は危険です」の看板があり、見落としてしまいそうですが左手の岩壁に鎖がかかっています。

兜嶽へはここを登っていきましょう。
そのまま真っ直ぐ行けば迂回路を進めます。

兜嶽の鎖は長くはありませんが勾配は急な場所もあり、登りの左手は断崖絶壁ですのでくれぐれも注意しましょう。
落とし物をすると回収不可能です。

最高点付近から振り返れば越知の町を一望する良い景色が眺められます。

登り切った先にはかむと嶽石鎚神社が鎮座しています。
難所を越えた安堵と共に一休みしてお参りをしておきましょう。

兜嶽から振り返って
かむと嶽石鎚神社

横倉山三角点

兜嶽を越えたらさらに尾根伝いに進んでいきましょう。

20分ほど歩くと横倉宮に至る前に横倉山三角点(774m) があります。
ここを山頂とすることが多いようです。

テーブルとベンチがありますので食事休憩をするには適していますが、木々に囲まれており眺望はありません。

横倉宮からさらに10分ほどで畝傍山展望所という見晴らしのある場所がありますので、食事休憩にはそちらを利用するのも手だと思います。

横倉宮と馬鹿試し

さらに尾根伝いに1度標高を下げて進むと、25分ほどで横倉山の主要な目的地、横倉宮へ到着です。
今回は登山口から約70分で到着しました。

前述の安徳天皇が没した後に平知盛が祀ったことにはじまる神殿で1200年に建立されたそうです。
社殿横には牧野博士が発見・命名したヨコグラノキが立っています。

霧がかかることも多い横倉宮、その姿もまた荘厳です。

この裏には馬鹿試しと呼ばれる断崖絶壁があり、高さは実に80m。
馬鹿試しは社殿に向かい左手脇に入り登っていくと看板で案内されています。

その名の通り、敢えて危険を冒して足を運ぶ者にちなみ馬鹿かどうかが試される場所、という意味だそうです。
その底には平家穴というかつて敵襲に備えて隠れるための洞窟があったそうです。

ここまでを堪能して下山する方も多いですが、横倉宮のさらに奥には重要な史跡である安徳天皇陵墓参考地畝傍山眺望所、そして今回の目的地住吉神社の鎖場が待ち構えています。

横倉宮を堪能したら、その奥の展望所と崖の上の住吉神社を目的地として進んでいきましょう。

畝傍山眺望所

畝傍山眺望所・空池・住吉の看板に従って、横倉宮に向かって右手へ下っていきます。

道なりに降ると、東屋のある横倉宮休憩所に出合います。
周辺案内図がありますので行先を確認しましょう。

安徳天皇陵墓参考地方向に進んでゆくと、数カ所の分岐がありますがそれぞれ案内版があります。

陵墓参考地は立派な石段が続いていますが、現在は門で閉ざされ見学できない状態です。

全体的により鬱蒼とした道になりますが、さほど距離はなく横倉宮からは10分程度で到着可能ですので臆せず進みましょう。

陵墓参考地の石段を右手に見て進み、次の分岐で左手に入ると畝傍山展望所に到着します。

こちらにはベンチとテーブル、東家があり、南から西方向への眺望が一部得られ、これまで歩いた修験の道コースの一部を眺めることもできます。

実に良い眺め。
横倉山ではこちらを目的地として休憩するのがお勧めです。

住吉神社

戻ってさらに奥へと進むと、空池住吉神社へ向かう分岐があります。

ここからは三角形を成すようにそれぞれがつながっており、それぞれ5分程度の道です。

右へ進んだ先の空池は池という名前ですが、窪地の両脇に大きな苔生した石灰岩が並ぶ天然の庭園です。

そして左へ進むと修験の地としての鎖場の残る、住吉神社を示す看板があります。

この住吉神社は現在は小さな社が残るだけですが、まさに断崖絶壁の上に屹立しています。
この断崖は龍バシリと呼ぶんだとか。

この鎖場はかなり急ですので、3点支持で慎重に降りましょう。
一の鎖で谷へ降りたのち、二の鎖で断崖の上に登ることが出来ます。

住吉神社は現在は小さな社が残るだけですが、強く信仰を集めている場所です。
ここまで到達すれば、横倉山の最奥部に到達したといって良いでしょう。

しばし密やかな絶景を楽しんだら、注意して戻りましょう。

下山:自然の道コース

横倉宮休憩所まで戻ったら、今度は自然の道コースを歩いて第2駐車場へ下山します。

道なりに下山してゆくと横倉宮の参道鳥居があり、道中にはアカガシやヒノキなどの巨木を目にすることができます。

安徳天皇行在所跡、アセビの森の入口鳥居、牧野富太郎先生の歌碑などを目にしながら、20分ほどで山小屋と杉原神社へ到着です。

横倉山の山小屋

あまり利用されていないようですが、横倉山には立派な避難小屋があります。

横倉山の山小屋は開放されており正面には広場があります。
近くには全国名水百選、かつて貴重な水源だったであろう安徳水の水道があります。

安徳水は生水のため飲料水ではないと注意書きされています。

ここはキャンプも可能とのことで、6月にはヒメボタルを観測することもできるそうです。

杉原神社と平家ノ宮

杉原神社は横倉修験道の中ノ宮にあたり、平家の守護神である熊野権現を祀った神社です。

境内には樹齢500-600年といわれる巨大な杉の木が立ち並び圧巻の一言です。

その奥には安徳天皇の家臣たちを集めて祀る平家ノ宮が建てられています。

杉原神社まで降りると、まもなく第2・第3駐車場への分岐に出合います。
正面左へ進むと第3駐車場、右手へ折れると目的の第2駐車場です。

第3駐車場の方が道が立派なのですが、間違えて進むと第1駐車場に戻るには難儀しますので注意しましょう。

右手の第2駐車場への道は石畳と朽ちた金属製の手すりが続いていますが、途中に錆びた立て札と共に右手に折れて山道を歩くこともでき、こちらでは御手洗の湧水夫婦杉などを目にすることができてお勧めです。

急登を経ることにはなりますが、その途中から登りで歩いた修験の道コースに合流して戻ることもできます。

この分岐からは15分程度で、第2駐車場に到着です。

織田公園へ

残りは織田公園を目指して30分ほどアスファルトの林道を歩きましょう。

駐車場すぐには安徳天皇の従臣淡路公清房の墓、林道途中には八坂神社などを目にすることができます。

最後は花壇の花が美しい織田公園でひとやすみ。
越知町を一望できる展望台や、東屋の可愛いベンチも一軒の価値ありです。

横倉山、お疲れ様でした。

あとがたり

高知県越知町の横倉山、いかがでしたでしょうか。

見どころが非常に多い山でレベルを問わず登り楽しむことができる非常に魅力的な山です。

越知町には他に大樽の滝宮の前公園、映画の舞台となった沈下橋などの名所がありますので、ぜひお立ち寄りの際は合わせて楽しんでいただければと思います。

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それではまた次の記事でお会いしましょう。
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