西赤石山【四国百名山】

こんにちは四国グラフィです。

本日は愛媛県新居浜市の西赤石山についてお届けします。

※この記事の元になった登山は2022年5月です。

基本情報

標高1646m
愛媛県新居浜市
四国百名山/新・花の百名山

西赤石山は愛媛県東部に位置する赤石山系筆頭の人気山です。

かつてこの一帯は17世紀より別子銅山を中心に栄えていましたが、昭和48年には廃坑となり現在は数多くの遺跡となってその名残を見ることができます。

そのため森林伐採により禿山となっていましたが、現在は再び緑に覆われつつあり、ツツジの花やツカザクラアカモノをはじめとする貴重な高山植物が魅力の山です。
ツカザクラについては本邦での生息域南限に位置するようです。

特に5月のアケボノツツジの盛りでは北側斜面がピンクの花に覆われる姿が美しく、新・花の百名山に選定されています。

登山口とアクセス

西赤石山への代表的な登山口は2つあります。

日浦登山口 (別子ダム~銅山越経由)

鹿森登山口 (鹿森ダム~東平経由)

共に新居浜ICから別子銅山跡への案内に従い県道47号線に入り、道なりに走行すれば到着します。
道路は全面舗装されていますが、冬季は通行に注意しましょう。

今回は前者の日浦登山口より西赤石山を目指しています。

日浦登山口

愛媛県道47号線沿い別子ダム脇にある登山口です。

トイレと案内板がある10数台規模の駐車場がありますが登山客が多いと満杯になることも。周囲の路側帯が広いためそちらに駐車することができます。

銅山跡の遺跡群を見ながら小足谷川を登ってゆき銅山越から西赤石山を目指す、おおよそ登頂まで3時間程度のコースになります。

登山道入口とトイレ

鹿森登山口

銅山跡の観光地である東平(とうなる)地区を経由し、北西より西赤石山を目指します。

同じく県道47号線沿い、鹿森ダム付近に登山口がありますが、周囲は道路幅が狭いため大型道の駅であるマイントピア別子に駐車すると良いでしょう。林道を歩くこと20分ほどで登山口に着きます。

または、東平にも駐車場があるため自動車で向かってから登山道に合流するのが良いでしょう。

銅山ヒュッテを経由し銅山越に合流することも可能ですが、第三通洞から分岐して植林帯を歩き北西のカブト岩から西赤石山へ登ることもできます。

いずれも急登が続くなかなかの道で日浦登山口コースよりやや長く、4時間程度の実動時間になります。

日浦登山口コース

今回登り・降り共に使用した日浦登山口からのコースについて概説します。

YAMAP地図より

銅山越経由;左岸コース

最も一般的な道は、銅山史跡群を眺めながら道なりに小足谷川を登ってゆき、登山口より約2km地点の分岐を吊り橋(東述谷橋)を渡り銅山越への近道(左岸コース)を進みます。

銅山越は北西の東平方面、及び西の銅山峰・西山・笹ヶ峰方面からの道の合流地点です。

ここより東へ進路をとり尾根伝いにさらに標高を上げ、1392mの東山や1482mピークなどを経て西赤石山に登ります。

銅山越経由;右岸コース

吊り橋を渡らずに直進する右岸コースでももちろん銅山越に到着することができます。

こちらでは架け橋を渡りながら銅山殉職者を祀る蘭塔場(蘭塔婆)や、鎮護の神として重要であった大山積神社跡などを目にすることが出来ます。

直登コース

前述した吊り橋より手前、接待館跡地を過ぎたところから銅山越~西赤石山尾根の途中の分岐へ合流する道もあり、こちらを通ることも可能です。

登りで史跡を十分堪能したら降りでこちらを通るのも良いでしょう。
銅山越経由のルートよりも道が不明瞭ですので気をつけて。

なお、西赤石山の山頂手前ではロープを使った短い岩場のぼりがあります。
特別な装備は必要ありませんがグローブは持っておきましょう。

西赤石山のロープ場

登山開始〜吊り橋まで

登山口のトイレで身支度を整えたらスタートです。

序盤は比較的緩やかな登りで、時折聞こえる小足谷川のせせらぎが心地よい。
円通寺跡を皮切りに登山道沿いに銅山遺跡を次々に目にしていきます。

銅山越までの前半では、特徴的な赤レンガ壁が残る接待館跡や、石垣に大樹が立ち並ぶ小学校跡などが主な見どころです。

ここから橋を越えながら進んでいくと、およそ40分ほどでダイヤモンド水の広場に到着です。

こちらは少し手前にバイオマストイレも設置されており、ホースから噴き出している水は直接飲用も可能なありがたい休憩所となっています。

名前の由来は掘削に用いられた機械にダイヤモンドが使用されていたからだとか。

ここから10分弱ほど進むと例の吊り橋(東述谷橋)のある分岐に到達です。

左岸コース

吊り橋付近にも綺麗な木製のベンチが設置されています。

分岐点には『銅山越は橋を渡ると楽です』とちっちゃく書いてあります。

右折して吊り橋を渡れば銅山越への近道であり今回はこちら左岸コースを歩きます。

左岸コースでは寄り道にはなりますがトンネル第一通洞の南口や、かつて鉱山街であった目出度町地区を対面に見渡せる延喜の端などがあります。

そして銅山越の手前には、別子銅山はじまりの場所である歓喜坑・歓東坑が。

こちらにもベンチと案内板があり、西赤石山までの間で綺麗なベンチが登場するのはこの歓喜坑が最後になるので休憩するのも良いでしょう。分岐の吊り橋からは約20分ほどです。

歓喜坑を越えてさらに10分ほどで銅山越に到着です。

銅山越

銅山越は北西の東平方面、及び西の銅山峰・西山・笹ヶ峰方面からの道の合流地点です。

かつてこの峠を越えて新居浜方面に人肩で銅を運んでいたのが名前の由来だそうで、過酷な山越えに倒れた坑夫を弔うためにお地蔵様が備えられているとのこと。

左岸コースではおおよそ日浦登山口から80分程度です。

次に銅山越の右脇を通り西赤石山方面に進路をとりますが、反対の銅山峰方向へ進むとツカザクラ群落の保護園がありますので休憩ついでに足を伸ばすのも良いでしょう。

この一帯はツカザクラ分布の南限に位置するそうで、遺伝子的にも固有のもので大変価値があるものだそうで、そのため2019年に国指定の天然記念物と認められています。

東山

それでは右手東方向へ看板に従って進路をとり、西赤石山へ後半戦です。

ここからは背の高い木に囲まれた尾根道を渡っていきます。

最初の区間は部分的にアカモノやツカザクラ、山頂に近づくほどツツジが見られ標高とともに景色が変わっていくのを実感できるでしょう。

急な登りを越えてゆくと天満山の看板があり、ここあたりから周囲を見渡せるようになってきます。

来た道を振り返ると銅山峰西山、北は新居浜市と瀬戸内海が見えていますが、どんどん標高が上がって眺めが良くなりますので先を急ぎましょう。

登りがひと段落して緩やかな道になると、東山に到着です。

ここからは南西方面にも一部視界が開けており、高知県大川村の大座礼山などを見通せます。

なお、ここを過ぎると序盤で目にした接待館跡につながる道の分岐があります。

左手に進路をとり進んでいくと再び登りが続いてゆき、1482mピークを越えてツツジのアーチの尾根へ入っていきます。

頭上を覆う木々の高さを越えると、周囲一帯を見渡すことのできるカンラン石ののぞき岩へ。

歩いてきた西方面を眺めれば、日本二百名山笹ヶ峰と沓掛山(くつかけやま)の間に顔を出す瓶ヶ森と石鎚山の姿が。

ここから一部岩場をロープを用いて登ってゆくと『ようこそ西赤石山』の看板が登場。

三角点のある西赤石山山頂はすぐ近くです。

西赤石山山頂

山頂は数組の登山客がくつろげる広さがあり、春は花を見ながら一休みすることができます。

アケボノツツジなどの植物で囲まれており、咲き誇る時期は特に壮観で登山客も多いです。

この時は既に枯れつつありましたが終わりかけのツツジの花を楽しむことができました。

花に恵まれた山頂はとても贅沢ですね。このツツジなども数が減ってきているそうです。
山の植物は特に大事にしなければならないなと感じます。

降りはこれまで述べたように幾つもルートを選べますので、登りと違う道を歩くのも良いでしょう。

今回は銅山越まで戻ったあと、西山まで足を伸ばしてから下山しています。

おまけ;銅山峰・西山

おまけになりますが、今回の登山では銅山越より西山に登ってから先に進んで降り、谷間から右岸コースに合流して降りましたので一部ご報告します。

銅山越から西に進路をとるとツカザクラの保護区の中に銅山峰のケルンがあり、その途中には北方面の新居浜市と瀬戸内海を見通せる展望所などもあります。

少し戻って道なりに進んでいくとやがて急登がはじまり、西山へ登ってゆきます。

西山手前の登りは急ですが10分程度で山頂へ到達できます。
山頂周囲まで木々で鬱蒼としており眺望はありません。

この西山から続く縦走は綱繰山、大阪屋敷越、獅子舞の鼻、ちち山と続いてゆき、その先には笹ヶ峰があります。かなりのロングトレイルであり上級者向けのコースでしょう。

今回は綱繰山方面へ進んで、谷間から日浦登山口への道に合流する道を歩きました。

その谷間の分岐点は一応朽ちかけた看板で示されています。

一部谷川沿いに降り気味に進んでゆきますが、道は不明瞭で逸れやすいです。赤テープを頼りに進みましょう。

銅山峰の南まで出るとトラバース気味の道を進み、西山から30分程度で右岸コースへ合流です。

小足谷川沿いに出る前に鉄塔があり、この下の大岩が座って休憩するのに適しています。
手前には登りで歩いた左岸コースへ続く道も延びています。

ここまでくると登り同様に整備された道で足元も落ち着き、軽快に下山できます。

大山積神社跡蘭塔場など登りで見れなかった史跡を通って登山口まで戻りましょう。

往路でも足を止めたダイヤモンド水が有り難く体に染みます。

お疲れ様でした。

あとがたり

(登り) 日浦登山口〜ダイヤモンド水〜吊り橋分岐〜左岸コース〜銅山越〜西赤石山山頂 (2時間25分)

(西山) 西赤石山山頂〜銅山越〜銅山峰〜西山(1時間20分)

(下山) 西山〜分岐〜右岸コース〜ダイヤモンド水〜日浦登山口 (1時間40分)

下山まで休憩込み約6時間30分、歩行距離12.8kmでした。

数々の銅山遺跡も近代の歴史を感じますが、貴重な高山植物群やアケボノツツジの咲き誇る山頂周囲は素晴らしいものでした。

初めて登られる方はぜひ5月前後の春の時期を選ばれると良いかと思います。

今回とは逆の東平発銅山ヒュッテを経由するコースや、西赤石山を通過し東赤石山まで縦走するコースも四国内で人気の日帰りロングハイクであり、しこぐらでも今後挑戦してみようと思っています。

それでは今回もお読みいただきありがとうございました。

また次の山でお会いしましょう。

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