大麻山 (香川)【四国百名山】

こんにちは四国グラフィです。

今回は香川県善通寺市の大麻山(おおさやま)についてお届けします。

※この記事の元になった登山は2022年6月です。
大麻山と表記される四国百名山には徳島県鳴門の大麻山(おおあさやま)がありますのでお間違えないようにご注意ください。

基本情報

大麻山 (おおさやま)
標高616m
香川県善通寺市
四国百名山

大麻山(おおさやま)は善通寺市南部に東西に長く伸びる山です。
二峰性にピークを持ち、西側山頂を大麻山、東側を象頭山(ぞうずさん)または琴平山と呼びます。

善通寺市には総本山善通寺をはじめとする壮大な寺社が多数ありますが、この大麻山は象頭山東側中腹に金刀比羅宮(ことひらぐう)が建立されていることで有名です。

とはいえその奥に続く登山道から大麻山へ登る方はごく一握りであり、表参道以外では静かな山歩きを楽しめるでしょう。

金刀比羅神社 参道の石段

こんぴらさん

金刀比羅宮は全国に点在する金刀比羅(金比羅、琴平)神社の総本宮で、現在は海の守護神として信仰を集めています。

四国の方には『讃岐のこんぴらさん』といえば伝わるでしょう。

Wikipediaより引用

金刀比羅宮(ことひらぐう)は、香川県仲多度郡琴平町象頭山中腹に鎮座する単立神社である。明治初年の神仏分離以前は金毘羅大権現と称し、通称は「讃岐の金毘羅さん(さぬきのこんぴらさん)」で知られる。明治初年以降に神社になってからの当宮の通称は「金比羅さん」である。(中略)

明治初年に神仏分離・廃仏毀釈が実施されて、金毘羅権現の奉斎は廃止とし大物主を主祭神とする神社となり、神社本庁包括に属する別表神社、宗教法人金刀比羅本教の総本部となった。全国に約600ある金刀比羅神社、琴平神社あるいは金比羅神社の総本宮である。

当初はあらゆる分野の人々に信仰されていたが、19世紀中頃以降は特に海上交通の守り神として信仰されており、漁師、船員など海事関係者の崇敬を集める。時代を超えた海上武人の信仰も篤く、戦前の大日本帝国海軍の慰霊祭だけではなく、戦後の日本特別掃海隊(朝鮮戦争における海上保安庁の掃海)の殉職者慰霊祭も毎年、金刀比羅宮で開かれる。境内の絵馬殿には航海の安全を祈願した多くの絵馬が見られる。金毘羅講に代表されるように古くから参拝者を広く集め、参道には当時を偲ばせる燈篭などが今も多く残る。

金刀比羅宮は奥社(奥の院)までで実に1368段もの石段がありますが多くの参拝者で賑わっており、またその麓は琴平温泉街として香川県を代表する行楽地です。

この一帯は景観も美しく見どころもたくさんありますので、日程に余裕があればぜひ琴平温泉街で一泊して善通寺を満喫していただければと思います。

なお近くには空海トレイルで有名な善通寺五岳山もあり、うち我拝師山は四国百名山に数えられています。

金刀比羅宮 本宮

アクセス

大麻山へ登る際は金刀比羅神社への参拝と同じく自動車もしくは電車でのアクセスが良いでしょう。

自動車の場合

自動車では善通寺ICで下車して南へ20分ほど、参拝者向けに安い貸駐車場が多数あります。
琴平町内は一方通行があり通行人も多いため注意しましょう。

電車の場合

電車ではJR土讃線琴平駅、もしくは琴電琴平駅が最寄りです。

JR四国:琴平駅

駅よりおおよそ徒歩10分で参道に入ることができます。

大麻山登山口

登山口は主に金刀比羅宮奥社牛屋口の2ヶ所です。

金刀比羅宮奥社

本宮よりさらに奥へ進み30分ほど石段を歩いた先が奥社(おくしゃ/おくのやしろ)です。

こんぴらさんの石段は表参道より本宮まで785段、奥社までは1368段あります。

奥社鳥居手前の谷側に『大麻山登山口』の看板がありトラバースして山道へ入ります。

牛屋口

牛屋口は大麻山・象頭山のほぼ南端に位置し、登山口には坂本龍馬像が建っています。

参道105段石段の地点、鳥居の下左手にある『四国のみち』の看板を目印に左手に入り林の中を歩くこと15分ほどで牛屋口に到着します。

牛屋口からは象頭山山頂を経て大麻山を目指すのですが、序盤の40分ほど急な登りとなりますので登山に慣れている方向けかとは思います。

その他;善通寺方面より

JR善通寺駅方面からは車道で大麻山の山頂展望台手前まで登ることもでき、大麻山キャンプ場野田院古墳展望台などをドライブついでに楽しむこともできるでしょう。

JR善通寺駅などから歩いて大麻山へ登り縦断して金刀比羅宮を目指すこともできますが、冒頭の車道歩きは2時間を越えますのでお好みで。

トレイルランをされる方などはキャンプ場まで車で来てぐるりと走られる場合も多いようです。

登山コース紹介

大麻山の登山道はざっくり見ると並行するように南北の2本があり、途中の工兵道中央部分岐で行き来することができるようになっています。

YAMAP地図に筆者注
  • 北側;奥社よりトラバースを歩く工兵道
  • 南側;牛屋口~象頭山頂~大麻山頂をつなぐ尾根道

目標に応じて様々な歩き方が考えられますが、個人的に下記の2コースをお勧めします。

①工兵道短縮コース

比較的スマートに大麻山山頂を目指せる道筋で、初めて登る場合や登頂に重きを置く場合はこちらをお勧めします。

工兵道中央分岐から龍王社までの登りはかなりの急登ですが他は安全な山歩きです。

こんぴらさんの石段も含め、往復でおよそ4時間弱のコースです。

②大麻山周回コース

より歩きごたえを求める方にお勧めの大麻山をぐるっと歩き切るコースです。

工兵道の後半はトラバース道で道幅の狭い部分もあり滑りやすいのでご注意ください。

所々で讃岐富士を含む丸亀平野を眺めることができるのも魅力です。

北端で大麻山山頂へ向けて切り返す部分はかなりの急登になりますが、車道に出てジグザグに登っていくこともできます。

こんぴらさんの石段も含めおよそ6時間程度のコースです。

今回は"裏参り"で

先日の大麻山登山では牛屋口をスタートして前述の周回ルートを逆に歩きました。

牛屋口〜象頭山〜大麻山山頂〜展望台で休憩〜北端の斜面を下り工兵道〜工兵道中央〜葵の滝広場〜奥社〜表参道

本記事ではこちらの"裏参り"コースを写真と共にご紹介します。

登山開始:牛屋口より

琴平駅付近に駐車し車道を歩いて牛屋口へ到着です。

坂本龍馬像を目印にその視線の先の登山道に入ってゆきます。

牛屋口から象頭山までの道は前半40-50分ほど急登です。

数年前に登山道が整備されたそうで歩きやすくなっていますが、落ち葉も多く滑りやすいので注意して登ってゆきましょう。
赤テープやトラ柄ロープ、こんぴらの金の字が刻まれた石柱が道を示してくれます。

傾斜が落ち着いてからしばらく森の中を歩くと、象頭山山頂手前で視界が開けて天気が良ければ瀬戸内海まで眺められます。

なだらかな道を歩いて進みまもなく象頭山の三角点です。
このコースだと左手に出てきますが目立たないので見落とさないように。

牛屋口から70分程度での到着です。
表参道からだと100分ほど。

象頭山はあくまで稜線の途中といった場所ですのでそのまま先へ進みましょう。

象頭山から大麻山へ

象頭山付近から大麻山へは一部舗装もされた歩きやすい緩やかな道が伸びています。

象頭山三角点から15分ほどで標識のある分岐点へ出ます。

この分岐では直進で大麻山山頂へと向かい、右方向へ進むと龍王社とその先に奥社・工兵道中央方面へ向かっていきます。

帰りに周回コースで工兵道を歩く場合など、この路を帰路で使わない場合は龍王社に先にお参りすると良いでしょう。

龍王社金刀比羅宮末宮にあたり、葵の滝の上流である竜王池に鎮座しています。

池の周囲に初夏にはアヤメやアジサイなどが見られるでしょう。

金刀比羅宮 龍王社例祭

ここからは20分ほどで大麻山の山頂へ到達です。
サクラが植えられた並木道を軽快に歩いていきましょう。

山頂はもうすぐ

大麻山山頂~展望台

大麻山山頂付近にはテレビ・無線中継用の鉄塔があり、その付近にベンチやトイレが備えられています。
とはいえ展望台もすぐに見えますのでもう少し歩いて休憩しましょう。

鉄塔を左に目にして歩くと展望台手前で右手に大麻山山頂2等三角点があります。
控えめな山頂のため見逃さないように注意が必要です。

話を聞くとここは本来私有地のために他の山のような山頂看板がないそうです。

まもなく到着する大麻山展望台は正方形にベンチが設置され休憩食事に適しており、北方面に讃岐富士を含む丸亀平野、遠方に瀬戸内海を眺めることができます。

大麻山展望所より
大麻山展望休憩所

牛屋口よりおよそ1時間50分、歩行距離約3.4kmでの到着です。

休憩の後、下りは工兵道を歩いて金刀比羅宮奥社へと向かいます。

北面山道:工兵道へ

大麻山山頂から金刀比羅宮へは龍王社を通って工兵道中央などに降りる路を歩く方が多いかと思いますが、今回は北側の山道である工兵道を歩いて奥社へ下ります。

山頂展望台を通り過ぎてまもなく分岐があり、右手に入り急斜面を降り始めます。

※この道はかなり傾斜がきついため、左の車道へ繋がる道を歩いても1kmほどで工兵道へ入ることができます。

15分ほど慎重に降りると林道に出合い、そのまま大麻山北面のトラバース道に入れます。
ここが工兵道と呼ばれており元々陸軍の工兵部隊が訓練に使った道だとか。

看板に従い東の奥社・葵の滝方面へと進みましょう。

工兵道は奥社まで2.6kmの道のりでそのほとんどがトラバースです。

特に今回歩く前半(西部)は荒れており道幅も狭く滑りやすい場所がところどころにありますので注意しましょう。一部ザレ場も出現するので落石や滑落にも気をつけて。

時折林の切れ目から讃岐富士を眺めることができるのが癒しです。

山頂展望台よりも低い位置で正面から見据えることができ、この讃岐富士は格別です。

讃岐富士こと飯野山

時折案内板を目にしながら黙々と進むと1.5kmの地点で工兵道中央の分岐です。

こちらからは龍王社へと登ることができ、前半で紹介した大麻山〜象頭山稜線の分岐へと繋がります。
さらに直進して500mほど歩けばベンチのある葵の滝広場です。

雨の多い時期でしたが水量は乏しく微かに水の流れる音が聞こえるくらい。
この上流に龍王社および龍王池が位置しています。

ここまでくるとこんぴらさんはもうすぐ。

防火帯にさしかかり、最後にややジグザグに標高を上げるとようやく奥社へ到着です。

大麻山展望台から工兵道を通って奥社まで100分程度でした。

ほぼ天然のトラバースから石畳へ上陸すると同時に安堵を覚えます。

金刀比羅宮 奥社

奥社は名称を厳魂神社(いづたまじんじゃ)といい、戦国時代に荒廃した金刀比羅宮を再建した金光院宥盛を祭神とし厳魂彦命(いづたまひこ)として祀っています。

金刀比羅神社の中でも特にパワースポットとして知られ、奥社でしか買えない御朱印や、向かって左手の岩壁威徳巌(いとくいわ)に掛かる天狗・烏天狗の石像などは必見です。

ここからは583段の石段を下って本宮へと戻りましょう。

奥社から近い順に菅原神社白峰神社常磐神社と立派な神社が立ち並んでいます。

金刀比羅宮 本宮

奥社から30分ほど金刀比羅宮本宮へ到着です。
本宮に向かって右奥より本宮に戻ってくるかたちになります。

ここまで来れば大勢の参拝者で賑わっていることでしょう。

長い裏参りでやっと着いた境内では善通寺方面への眺望を得られます。

本宮への参拝を済ませたら785段の石段を降りて下山しましょう。
悩む(786)の一歩手前という数字になっているとか。

ここからの下りでも数々の史跡や文化財を目にしますが、特に下から628段目にある旭社(あさひやしろ)重要文化財に指定されており、こちらのお参りもしておきましょう。
もともと本宮の参拝後に参るのが習わしだそうです。

重要文化財 旭社

この旭社、あまりの立派さに本宮と取り違えてここで下山したというエピソードもあるほど。

大門を越えれば参道沿いの土産物屋に目を落としながら琴平駅へと戻ります。

足湯やカフェなどに寄るのも良いでしょう。お疲れ様でした。

あとがたり

大麻山をぐるりと歩いてこんぴらさんに裏参りするコースをご紹介しました。

今回は大麻山登頂に主眼をおいて歩きましたが、金刀比羅宮そのものも参道から奥社まで見どころがたくさんですので、ぜひ下調べの上で隅々までお楽しみください。

それでは今回もお読みいただきありがとうございました。

また次の山でお会いしましょう。

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