石鎚山 成就ルート冬季(前半)【日本百名山】

登山客に四国随一の人気を誇る石鎚山は、四国で2座ある日本百名山のうち1座です。

今回は冬季の石鎚山登山についてご紹介します。

※この記事の元となった登山は2022年1月上旬です。

石鎚山について

標高1982m
愛媛県西条市/久万高原町
日本百名山/四国百名山/新日本百名山

石鎚山は四国最高峰、また西日本の最高峰でもある山です。

霊峰石鎚と名高く江戸時代以降に栄えた山岳信仰のメッカであり、日本百名山であるとともに日本七霊山にも名を連ねています。
いわばこの山域自体が神様というわけですね。

切り立ったシャープな姿は信仰心を篤くするのも納得の神々しさで、冬の雪を被った険しい山頂付近の様相は修験の道であったことも頷けます。

暖かい四国では本格的な雪山を経験できる場所は少ないですが、厳冬期の石鎚山は四国内で雪山装備を要する代表的な山です。

初挑戦の方はしっかり準備と予習をして臨むようにしましょう!

秋の石鎚山

アクセス

冬の石鎚山への代表的な登山ルートは、ロープウェイを利用して山頂成就駅から登るコースです。以下成就ルートと呼びます。

秋の石鎚山登山で紹介した土小屋ルートは、冬季は石鎚スカイラインと瓶ヶ森林道(UFOライン)の通行禁止により一般にはアプローチできませんのでご注意ください。

石鎚山ロープウェイの乗り口に当たる下谷駅へは、自動車もしくはバスでアクセスします。

松山方面からはいよ小松IC、他3県からはいよ西条ICで下車して142号西条久万線を進みます。
高知市からは寒風山トンネルを通る194号線の線もありますが、高速道路を使った方が早くて楽だと思います。時折路面も凍りますしね。

下谷駅付近には有料駐車場があり日帰りなら有人駐車場で700円。
もっと安いところもあるようですが招かれるままに停めました。

バスだとJRいよ西条駅からせとうちバスが日に4往復半出ていますので、JRでアクセスする方は活用できるでしょう。

下谷駅付近 (石中寺西之川別院)
https://goo.gl/maps/znJ3Nnq6jpLKv2xu7

ロープウェイは冬季は8時40分が始発で以後20分おきが基本ですが、臨時便があったり運休したりしますので、公式の情報で確認してからいきましょう。

大人1人往復料金だと2000円です。

注意しておくべきはロープウェイ最終便が17時であり、登山にかかる時間を考えると意外と早いということです。

しっかりと余裕を持って計画・行動しましょう。

ロープウェイおよびバスの情報はこちら↓

石鎚登山ロープウェイ株式会社
https://www.ishizuchi.com/

登山ルート

成就ルートは途中でいくつかの合流分岐部がありますが、神社や鳥居をくぐりながら南南西に歩いていくおおよそ真っ直ぐなルートです。

ただし積雪していれば話は別で、雪が覆い被さるとどこが本来進むべき道かはわからなくなります。

石鎚は厳冬期でも多くの人が登っていますので、多くの場合は足跡(トレース)がありますが、もし雪山の経験がない中でトレースがない状況に出くわしたら厳重注意です。

迂闊に雪の上を進むと体力を消耗するばかりか、尾根から外れると滑落の危険性があり、もし初挑戦で訓練を受けていないならば撤退も考慮する必要があります。
また、そもそもルートを間違って進んでいる可能性も考えましょう。

順調に進めば石鎚神社成就社、遥拝の鳥居、試しの鎖と前社森、夜明峠などのランドマークを超えて二ノ鎖元小屋で土小屋ルートと合流。
そこから積雪量が増す鎖場迂回路の難所を越えて石鎚山頂(弥山)へと向かっていきます。

3時間程度がコースタイムとなりますが、状況に応じてそれ以上に時間がかかることを念頭に置きましょう。

YAMAP地図

装備と準備

冬場、特に1-2月の石鎚山を想定した場合の装備についてみていきましょう。

冬用登山靴、ロングゲイター、十分な防寒の登山ウェアはもちろん必要です。
グローブは失くしたり濡れると凍傷を負うので必ず予備を携帯しましょう。防水のものを推奨です。
僕は中厚手のベースレイヤー、インナー、フリースにゴアテックスのシェルで登りました。

ニット帽、ネックゲイターなど顔まわりの防寒具と、雪で光が反射し目を痛めます(=雪眼炎)のでサングラスも必須です。

雪道対策は、積雪量にもよりますがアイゼンをお勧めします。
滑落の危険のあるトラバース道を通りますのでピッケルも必須と思ってください。
特に終盤の鎖場迂回路で必要になってきます。

アイゼンは10-12本爪を推奨です。
チェーンスパイクでは不十分な場合が多いと思います。

また所々急峻な登りを経験する可能性があり、ワカンやスノーシューよりもアイゼンをお勧めします。
四国メインの登山をしている方なら、アイゼンよりワカンなどに慣れている方はあまりいらっしゃらないだろうと思いますが。

初めてならば、雪山での歩き方やピッケルの使い方についても一通り予習していきましょう。

また持参するギア(道具)は屋外ですぐに装着できるように練習しておいてくださいね。

その他としては寒冷下ではバッテリーの類は消耗が早くなること、ガスなどは点火しづらい可能性があることを知っておきましょう。

スマートフォンやカメラなどの精密機器は極寒で作動しない場合もありますので、カイロを持っておくのも良いと思います。

※追記 一般的にはスマートフォンなどのバッテリーをカイロで急速に温めることは推奨されないそうです。自己責任になりますが、緊急事態などでご検討ください。

登山開始

駐車場・バス停より目の前の階段を登ってロープウェイ駅へに乗り、山頂成就駅へ到達したら、まず外の積雪状況を伺いつつ準備を整えましょう。

この日は真冬日ではないものの、年末年始の寒波と前日の降雪によりそれなりの積雪が予想される日でした。
大体の気温予報は-6℃程度で風は強くない模様。

ここから歩き始めます

一応チェーンスパイクも持参していましたが、外に出た時点から十分な積雪があり、アイゼンでいけると踏みました。

20分程度で到着できる石鎚神社中宮成就社から装着しようと思っていましたが、予想以上に足を取られたので登り始め早々にベンチを利用してアイゼンを装着します。

成就社までの雪道は良いウォームアップになります。

お参りを済ませて状態を整えたら、神門をくぐり本格的にスタートです。

石鎚神社中宮成就社

成就社〜遥拝の鳥居

まずは木段の組まれた下りから始まり標高を下げていきます。まだまだこの辺りは10センチ程度の積雪で歩きやすいですが、アイゼンのありがたみを感じます。

25分ほどで再び鳥居が見え、ここが遥拝の鳥居です。晴れていれば既に石鎚山を拝むことができますが、まだこの時点ではガスが濃く見えませんでした。

ここからなだらかな道で徐々に高度を上げていき、半ばほどから雪に埋もれた階段が出てきます。積雪量も増え、トレースを外れると膝の高さまで雪に埋もれます。時折案内の看板があり、目安にしながら進んでいきます。

一面の白い世界や霧氷は四国で普通に生活するとまず見ることがなく、感動を覚えるでしょう。

遥拝の鳥居~二ノ鎖元小屋

遥拝の鳥居より50分ほどで試しの鎖が登場しますが、当然厳冬期に登るのはリスクが高いです。

ほとんど鎖も雪に埋もれて見えませんでしたし、当然凍ってカチカチでしょう。手袋越しに掴んでも冷たいです。

たまに登っている方がいると聞くこともありますが、4本の鎖場は相当余裕があるか専用の装備がないと挑戦するのは厳しいように思います。

短い急な登りを越えたら前社森(ぜんしゃがもり)へ到達です。
ここは試しの鎖の頂上にあたり、小屋の正面から瓶ヶ森を眺めることができしばし休憩に適しています。
距離的には2/3を過ぎていますが、時間的には半分くらいでしょうか。

前社森から見る瓶ヶ森

さらに登りを続けること20分、剣山の麓をトラバースして進むと視界が開け、夜明峠(よあかしとうげ)へ到着です。

ここはやや難易度の高い西之川ルートとの合流地点にあたり、しばらく進むと眼前に鳥居と二の鎖元小屋越しの山頂を目にすることができるようになります。

ここから見る石鎚山北壁の姿は大迫力、午前中ならば逆光となり一際神々しく映ります。

ここから30分足らずで、今度は土小屋との合流部にあたる二の鎖元小屋前の鳥居へ到着です。

ニの鎖元小屋前の鳥居

そして二の鎖迂回路へ

前半は二の鎖元小屋までをお伝えしました。
次回は難所、深い積雪のトラバース道を進んでいきます。

その先に見ることの出来る景色はどのようなものでしょうか、後半もぜひご覧になってくださいね。

石鎚山 成就ルート冬季(後半)【日本百名山】

奥に見えている尖った頂点が、石鎚山の最高地点、天狗岳です。今でこそSNSを通じてたくさんの素晴らしい写真を目にすることができますが、やはり自分の目で見る雪化粧の石…

それでは後編に続きます。

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ぜひ後編も読んでいってください♪

Jackery

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